ジョイントコマンドで選択しようとしたときに、そのまま基準点が表示される場合は簡単に選択可能ですが、表示されないような場所を選択したいケースもあるはず。
円錐の場合を例に挙げて、そのままでは基準点を表示できない場合の、ジョイント箇所選択方法を紹介してみましょう。
ジョイントの選択方法で取り上げる予定の円錐ですが、例えば、下面から35ミリの位置に直方体の中心をセットしたい場合などは、普通に選択する方法で選ぶことはできません。
ここから先は、私Ryujiが使っている方法ですので、これが最も効率のよいものであるという保証はありません。
もしももっと良い方法を見つけた方は、ぜひ教えて下さいねm(_ _)m
スケッチを使ってジョイントさせる方法
では私のやり方の一つ目を紹介します。
この場合の問題は、指定された基準点しか選べないことにあるのですから、新しく基準点を作ってしまえばいいという発想が私の方法の考え方になります。
基準点を作る方法は、まだ使い方を紹介していない「構築」メニューの「オフセット平面」でやってみますね。
まずは構築メニューを開きオフセット平面を選択します。
するとオフセット元の平面を選択する事ができるようになりますので、円錐の下面を選択しましょう。
選択時点で移動用の矢印が下を向いていますから、この場合は「-35」を入力して、下面から35ミリ高い場所に構築平面を作成します。
これで「OK」ボタンを押して構築平面を確定すると、円錐の上部付近に平面ができた形が確認できるようになりますね。
ここまでできたら、この平面にスケッチを作成します。
ここにスケッチを作る理由は、基準となる場所に円錐を分割できる面が作りたいだけですので、どんな形であっても構いませんが、今回は円を選んで分割させてみることにしましょう。
スケッチメニューから「円」をポイントし、その中から「中心点と直径で指定した円」を選びます。
円錐の中心点をクリックして円の中心を選択し、円の大きさを決めましょう。
この場合の円は適当な大きさで大丈夫ですよ。
あとで選択しやすいように、多少大きく作っておくと簡単です。
私はこんな円を作ってみました。
ここまでできたら、この状態で「位置合わせ」コマンドを使って、コンポーネントをジョイントさせたい場所まで移動させます。
「位置合わせ」コマンドについては、詳しく紹介している記事を参照してくださいね。
位置合わせ機能を使って、手前側の直方体上面の中心を、先程作った円の中心にあわせます。
すると直方体が移動して、円錐と重なった状態になりましたね。
ここまでできたら「ジョイント」コマンドではなく、「位置固定ジョイント」コマンドを起動します。
コンポーネントを移動させていますから、「コンポーネントが移動されています」という警告画面が表示されますが、そのままの位置を維持したいので「位置をキャプチャ」を選択。
後は円錐と直方体を、そのジョイントで動いてほしい方を先に、動かないでほしい方を後に選択すればOK。
「剛性」ジョイントなら、どちらから選んでも大丈夫です。
この方法は比較的簡単に使えますが、スケッチで作ったポイントは、位置合わせの移動先としてしか選択できないという問題があります。
そのため、スケッチで位置を作った側はジョイントで移動させることができないのです。
また、ジョイント対象の両方がスケッチで位置を決めなければジョイントできない場合には、どちらも移動する側として選べませんから、使うことができないのはネックです。
ただし、「構築」メニューの「接平面」からスケッチを作るような方法を使えば、下のように曲面に平面を合わせるような使い方もできてしまう点はメリットと言っていいでしょう。
一長一短ある方法といえます。
対象物を一旦分割してジョイントする方法
上で紹介したスケッチで位置を作ってジョイントする方法には、幾つかの問題点がありましたね。
手軽ではありますが、ジョイントできない場合があるのですから、別の方法も知っておいたほうがいいでしょう。
ここで紹介する方法は、対象となるコンポーネントを一旦分割し、ジョイントしてから元に戻すというもの。
移動する側としても使えるようになりますし、両方が中途半端な位置でのジョイントが必要な場合でも問題ありません。
ただし、多少手順が長くなりますので覚悟してくださいm(_ _)m
目的のジョイントポイントを作るために、構築平面を作り、そこにスケッチを作成してから円を描くまでは、上で説明したスケッチを使う方法と同じ流れです。
円を予定の位置に作ることができたら、今度はこの円を立体に変えます。
「作成」の「押し出し」を選び、今描いた円を選択しましょう。
すると押し出し高さを設定できますので、ここは適当に。
ただし今回は上面を基準に説明しようと思っていますから、上の面はジョイントのポイントとなる基準面です。
上に押し出さないようにしてください。
そのまま押し出しすると、下の図のように押し出した範囲が赤く表示された「切り取り」モードになっているはずです。
今回は円錐から切り取ることが目的ではありませんので、操作ウィンドウの「操作」項目を「新規コンポーネント」に変更しましょう。
これでOKを押すと、円錐に今作った円盤がハマったような形ができましたね。
今度は「修正」メニューの中の「ボディを分割」という項目を選びます。
すると「分割するボディ」と「分割ツール」が選べるようになりましたね。
その下にある「分割ツールを拡張」は、チェックが入っていることを確認してください。
では、まず分割することになるボディの円錐を選択してみましょう。
「分割するボディ」の横にある「選択」が青く表示されているのを確認し、円錐をクリックして選択します。
すると円錐が青く選択表示されますので、次に分割ツールを選ぶために「分割ツール」横の「選択」をクリックします。
今度は分割ツールとなる、さっき作った円盤の上面を選択しましょう。
正しく選択できると、下の図のような表示になるはずです。
後はOKボタンを押して、ボディの分割が完了します。
あまり見た目には変化がないように見えますが、円錐と円盤の交線が表示されるようになっていること、
またブラウザ内で円錐コンポーネントの中身だったボディが、2つになっていることで分割されているのが確認できます。
この状態でジョイントコマンドを起動し、上側の円錐を選択しようとすると、先程分割した面でも中心点が表示されるようになっているはず。
これで上側の円錐の下面を選択し、ジョイントする目的の場所を選べば、予定通りのジョイントが成功します。
後は先程分割した円錐を、「修正」メニューの「結合」を利用して元に戻すだけ。
操作は簡単でコマンド起動のあと、くっつけたいボディを連続でクリックし、OKを選べば結合完了。
元通りの円錐に戻り、目的の位置でジョイントすることができましたね。
この方法は多少手間はかかりますが、ジョイントの移動する側としてコンポーネントが選択できるというメリットがあります。
また、両方のコンポーネントが中途半端な位置同士でジョイントしなければならない状況でも、問題なく使えます。
状況に合わせて使い分けてくださいね。
まとめ
今回紹介させてもらったジョイントの方法ですが、いずれにしても構築平面がうまく作れて、そこに基準となるスケッチを描けることが大切なポイント。
構築メニューの内容についてはいずれ記事にしようと思いますが、様々な方法を試してみて、目的のジョイント位置に平面を作り出せれば、自在なジョイントが可能になるでしょう。
とにかく使って試す。
失敗したら他の方法を考え出して、また試す。
3D-CADでは試行錯誤が自由に使えるようになるための鍵になるということですね。